中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4059回
「夕焼け小焼け」と「蛍の光」の昔に

大地震のおかげで街燈やネオンが消えて
東京にもやっと夜らしい夜が戻ってきました。
でも暗くなるのを怖れて、
夕方になるとすぐ家路を急ぐ人がふえたので、
商売はどこもあがったりです。

デパートの売上げは三越も伊勢丹も3割減だそうだし、
夜の宴会はキャンセルまたキャンセルで、
レストランやナイト・クラブはすっかり客足が遠のき、
私の知っているレストランでは
サラリーもとりあえず半分カットときかされました。
被害を受けたのは地震と原発で
家や仕事場を失った人たちだけではありません。
日本の国全体がこれから生きて行くための作戦を
はじめから練りなおす必要があるのです。

でも悪いことばかりではありません。
私は自分が子供の時に覚えた歌をしきりに思い出していますが、
文明の世の中になってすっかりご無沙汰してしまった
「夕焼け小焼け」とか、
「蛍の光、窓の雪」の光景が頭に浮んできます。
「山のお寺の鐘が鳴るから、もう帰らなくっちゃ」とか、
「暗い電灯の下で一生懸命、本を読んで勉強した思い出」
が日本の国を今日まで育て上げてきたことを
思い出していただきたいのです。

また北京から帰って来た私は友人という友人から
震災にあって自分たちが経験したトラブルをきかされました。
皆が皆、頭に来たのは
「肝心な時に携帯電話が通じず、何の役にも立たなかった」
ことと、
「電車もバスも一せいに停って
自分の家まで帰るのに、3時間も5時間も歩かされた」
ということです。
あまり自慢したことではありませんが、
私はいまも携帯電話は持ちあわせていませんし、
かねてから職住近接を唱えて、
職場から自宅まで歩いて15分でつくところで仕事をしていますので、
乗物を使わなくてもすぐに家まで歩いて帰ることができます。
そうは言っても、その日に限って遠出をしておれば話は別ですが、
生きるか死ぬかは天命ですから
運を天に任すよりほかありません。


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2011年4月21日(木)

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