第4050回
シャッター通りを離れる絶好のチャンス
地方都市の商売で最もきびしいのは、
もうずっと前から町の中心部にあるシャッター通りです。
東京や大阪に本社のあるメーカーが
海外に工場を移したたために工場を閉められた地方都市は
住民の就職先もなくなり、
商店街で物を買ってくれる人もいなくなってしまったので、
1軒また1軒とシャッターを下ろすようになり、
どこの町にも「シャッター通り」と呼ばれる
商店街ができてしまいました。
そうしたシャッター通りが大地震で被害を受けたら
思い切りの悪い人も
天から思い切りのチャンスをあたえられたと
考えるべきではないでしょうか。
私がそんなことを言うと、
「人の苦しみも知らないで」と反論する人もあるでしょうが、
「石の上にも3年」というのは裏がえして言えば、
「3年やって見ても見込みがないとわかったビジネスや仕事は
思い切ってやめるべきだ」ということです。
私はいつもそのことを胆に命じています。
ですから天災とは思い切りが悪くて、転換のできない人に
天がそのチャンスをあたえているのだと思ったら
少しは気が楽になるのではないでしょうか。
実はこれは被害を直接に受けた罹災地の人に言う言葉ではなくて、
東京や大阪で商売をやっている人も含めて、
絶頂期をすぎて四苦八苦している
流通業者やサービス業者が噛みしめるべき言葉ではないでしょうか。
ちょうど官軍が勝って徳川幕府が解体させられた
明治維新の時がそうだったし、
空襲で廃墟と化した東京や大阪や名古屋の大都市で
爆撃のために無一文に近い目にあわされた
敗戦直後の人たちにも言えることなのです。
その時、親譲りの家業をついだ人よりも、
家業そのものを失って、無から再出発した人々の中から
次の時代を背負う大人物が現われたのです。
その当時は田舎から大都会に出て
仕事をはじめればよかったのですが、
いまは国境をこえて、世界的規模で新しい勝負に出る時代なんです。
とりわけ流通業、サービス業が日本から外へ大移動する
またとないチャンスが来ているのです。 |