中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4048回
国境をこえていよいよグローバル化の時代に

日本の近代化がはじまったのは、
徳川幕府が勤皇軍との戦争に敗れて大政奉還をしたからですが、
その時だって全国の大名の大半が幕府の味方をした筈です。
でなければ彰義隊のようなエピソードが
今日まで語りつがれるわけがありません。

その頃の江戸ッ児や各藩の藩主やその家来たちだって
新しい変化にはついて行けないものなのです。
歴史の本にはそんなことは書かれていませんが、
大半が惰性で生きている人たちですから、
後世、歴史的な傑物として取り上げられている人物は
一握りにすぎなかったのです。
いつの時代も人間は昨日の続きの今日を生きている人たちです。
多くの人が明治維新を推進したわけではありません。

その頃に比べれば、今の時代は自分勝手なことを述べても、
身に危険が及ぶことはありませんから、
無責任な放言をする人が目立ちますが、
明治はおろか、大正から昭和にかけてだって
マルクスの思想を信奉したり、反戦的な言動を口にしただけで
身に危険が及んだものです。
それでもどこの国にも政権には寿命があって、
どうにも時代に合わなくなると、次の新しい時代が来るのです。
そうした変化に気がつき、次の時代の推進者になる人は
いつの時代も一握りの人にすぎないのです。

そう言った目から見ても、
今は現に存在している国々の寿命が終わり、
国境を越えて人々が往き来するチャンスがふえる方向にあります。
いままでに考えられなかった
国境を越えたグローバルな時代がはじまったのです。
それでも惰性で生きている人が多いので
自分の国を中心にして物を考える人が
依然として主流を占めておりますから、
政権のトップにいる人たちだけでなく、
大半の人が何かというと「愛国」をスローガンにして生きています。
次の時代を想定して手を打っている人や企業は、
ほんの一握りしかいないのが当り前なのです。
だからと言って世の中が次の時代に変わらないわけではありません。
或る所まで来たら、質が量に変化して突然、
「愛国」を叫ぶ人がいなくなるのです。
なぜなら国そのものがなくなっているのですから。


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2011年4月10日(日)

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