第4040回
瞬間円高を招いた本当の理由は？

大地震と原発の事故によって、日本国中が大へんな被害を蒙れば、
日本の国民も産業界も困難におちいることは目に見えていますから、
円が売られ、円安になるのが世の中の常識です。
ところが、実際に起ったことは円高の新記録の更新でしたから、
私もびっくりしましたが、
円安に批判的なアメリカやヨーロッパの先進国も
日本政府に協力すると声明を発表して、
少しは落着きを取り戻しました。

それにしても、どうして瞬間的に円高になったのか、
その後の解説を読んでも、
あまり納得の行く答にはぶっつかりません。
日本国中が大損害を受けると、
日本の保険会社は生命保険も損害保険も
大へんな補償をしなければならなくなる。
すると国内の資産だけでは足らなくなって、
ドル建てで海外に投資している資金を回収して
円に換えなければならなくなる。
だからそういう動きを想定して
為替の博打をやる連中が先廻わりをして
円買いに走ったのだと先の先まで読んだ解説が目にとまりました。

はたしてその通りかどうかも疑しいのですが、
仮りにそうだとしたら、他人の損害につけ込んで一儲けしようという
卑しい根性の集団だということになるし、
そういう人は人の風上におけないし、
そういう連中の手先になって為替の売買をするのも、
どういう人格の人たちなのだろうかということになります。

そういう解説に対して、保険会社の担当者は、
うちの会社は国内に充分の資金を擁しており、
そういう行動をとる立場にないと否定していますが、
もしそうだとしたら、あとは瞬間的な株式市場の大暴落に対して
「災害に売りなし」の格言通り
買いに廻わる資金の動きだとでも解釈するよりほかなくなります。
はたしてそうかという証拠はありませんが、
株の大暴落もそう長くは続かないでしょう。
円安になれば、産業界も輸出の道がひらけますから、
国内の復興需要とあわせて
しばらくは活気を取り戻すことになるのではないでしょうか。