中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4029回
既にはじまった中国人による資源開発

いま話題になっている稀土の会社で
唯一上場している中国稀土の本社を訪問した時、
最初に説明をしていただいたのは董事長の奥さんの総経理でした。
それから稀土の精製をしている工場を見せていただいたのですが、
工場はかなり大きいのですが、何ということはありませんでした。

そのあとで本社を訪れ、
ご主人の董事長さんから説明を受けたのですが、
「稀土と言っても色々あると思いますが、
何を主として手がけているのですか」と質問したら、
「何でもやっていますよ」という返事で、
具体的な答はありません。
でも荷造りした稀土の送り先を見ると、
新日鉄とか、昭和電工だとか、
どれを見ても日本の超一流のメーカーばかりで、
日本の基礎産業にとって
如何に重要な物を扱っているかが伺えました。
解説書には「海外資本とかかわりがあるので、
鉱山の直接の開発はさせてもらえない企業だ」
と書かれていますが、
町工場に毛の生えた感じの印象しかありませんでした。

それが稀土の輸出が政治問題化した途端に
あッという間に株価が倍になったばかりでなく、
株をやる人の関心の的になってしまったので、
高度成長が更に続くと、稀土だけでなく、
資源問題が次の関心の的になるだろうことを
改めて痛感させられることになりました。
中国稀土の株価は今後も投資家の注目の的になるでしょうが、
中国の国民総生産が日本を追い抜いただけでなく、
年に8%前後の成長が続けば、10年後にはどうなるか、
更に20年後はどうなるか、は世界の関心事であるばかりでなく、
富の動きを大きく変えることは目に見えています。

そういうことを見越して、私の周囲を見ても、
中国人がアフリカやブラジルや
イラン・イラクまで出かけて行って、
新事業に着手するのが珍しくなくなりました。
中国産の日用品を売りに行くかたわら、
低開発国の資源開発が
中国人の手によって行われる時代がはじまったのです。


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2011年3月22日(火)

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