中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4023回
やがて香港がアジアのウォール街に

一頃、中国内では株式ブームになって、
猫も杓子も株で踊った時期がありました。
工場で働いている工員さんも、
相場を見ないと落着いて仕事をやってくれないので、
あちこちの工場で1日に1時間、
株をやるための休憩時間を設けたことがありました。

ところが、金融不安の影響で株価が大暴落をすると、
手痛い損害を蒙った連中が株を見離すようになり、
上海も深センも株式熱は一ぺんに醒めてしまいました。
嵐がすぎれば元に戻りそうなものですが、
不動産に対する熱はいまも続いているのに、
株に対する情熱は冷めたまま一向に戻る気配が見えません。

それでも国民所得がふえ続ければ、
13億人の資金がいつかは株に向うだろうと考えて、
一度、香港に上場した企業の中には
将来のことを考えて
わざわざ上海に上場申請をした経営者も見かけます。
香港の額面が1株当り0.1ドルに対して、上海は1ドルなので、
わざわざ10株を1株になおして、
香港株が買いにくいようにしてしまったために
株価が勢いを失った企業も見られます。

私に言わせると、
そんなことまでして資金調達に気を使うことはありません。
もうしばらくしたら、中国政府は外貨があまりすぎて
国内の人たちに外貨を自由に使わせるようになります。
只でさえ国内の財産を海外に持ち出したい中国人は山程いますので、
そうなったら、人民元を外貨に換えて
課税対象にされない道を選ぶ人がふえます。
そうなったら、株が何かを理解できる人たちは
国内で株式投資をやるよりも、
自国株でも海外で投資する道を選ぶことが考えられるからです。

恐らくあまり遠くない将来に
世界のお金が香港に集まって来て
中国株を買うようになるでしょう。
時を同じくして中国人のお金も
同じ動きをするだろうと私は見ています。
かつてウォール街に世界中のお金が集まったように、
中国の時代が来たら、香港に世界中のお金が集まって、
ワン・クッションおいて中国株に投じられるようになると
私は見ているのです。


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2011年3月16日(水)

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