中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3936回
バブルの発生を想定する時期は近づいた

中国の外貨準備は2兆7000億ドルになったと言われています。
それが更に大へんな勢いでふえ続けていますから、
国内における人民元がそれに比例して
ふえ続けることは避けられません。

すると、猛烈な資産インフレが起りますから、
政府がいくら金利を上げたり、
不動産に対する融資にストップをかけても、
不動産の値上がりや物価の上昇を抑え込むことができなくなります。
中国政府は溜まった外貨で
世界中の資源を手に入れる動きを示していますが、
国内の人民元を回収して外貨に換えるのでなければ、
国内の過剰流動性にストップをかけることができません。
人民銀行に貯まった外貨は人民銀行の物ではないからです。

そうした観念が中国のトップにあるのかどうか、
私にはわかりません。
中国の経済人にきくと、
そういう発想がないんじゃないかという人が大半を占めています。
もしそうだとしたら、海外資源の確保はできても、
国内の過剰流動性による
猛烈な資産インフレは避けられなくなります。
人民元の洪水になるのに、金利を上げたくらいのことで、
洪水の大氾濫を止めることはできなくなるからです。

恐らく氾濫が先にあって、
それから治水工事の手を打つことになるでしょう。
水を止める方法は
人民元のふえるのを防ぐ以外には考えられませんから、
貿易黒字を消すために人民元の切り上げをするのが第一で、
人民に海外に行って大盤振舞いをすることを奨励するのが
その次ということになります。
民間による海外投資の奨励が恐らくそれに続くでしょうが、
高層ビルの大火事が発生しないと消防の設備をしないように、
大資産インフレにならないと
人民元の切り上げにはならないでしょう。

となると、次に人民元の切り上げがはじまるのではなくて、
あと一幕か、二幕、
大資産インフレが続くと見るのが正しいように思われます。
仮にそうだとしても、
そのまた次に起るバブル対策を予定に組み込む必要が
次第に濃厚になってきました。


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2010年12月19日(日)

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