中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3769回
テレビの脳足りん番組には泣かされます

新聞は娯楽的要素が少くて、
時事の伝達と解説が主な仕事ですから、
他に同じ伝達をする手段が現われれば、
仕事を奪われてしまう心配があります。
また新聞を使って広告をしていたのが、
ラジオやテレビや、
最近で言えばパソコンがその代役をつとめるようになれば、
新聞の大半の収入を奪われて、
企業そのものの存立すらあやしくなってしまいます。

日本ではまだそれほどでもありませんが、
台湾では一流新聞でさえ1年に50億元ぐらいは大赤字になり、
他企業に買収されたり、吸収合併の噂のタネになっています。
ニュースを伝達する役割から
広告収入までパソコンに奪われるようになれば、
新聞の消滅はもはや時間の問題と言ってよいでしょう。

それに対して、テレビには娯楽的空間があって、
ヒマ潰しをやる人が多いおかげで、
そう簡単には店じまいにならないでしょうが、
2008年の中間決算で日本テレビが37年ぶりに、
またテレビ東京が33年ぶりに赤字に転落しました。
翌9年にはテレビ朝日が17億円の赤字決算になり、
どこのテレビ局も制作費の削減に血眼になっていますが、
その結果起ったことは何かというと、
只でさえ低俗な番組が更に一段とお金のかからない
クイズを中心とした番組になってしまったことです。

テレビを見るのは中年の小母さんが圧倒的に多いと見えて
韓国の男優の人気がいまも衰えないのを見てもわかるように、
イケメンを揃えれば視聴率があがるので、
見かけがよくて頭の中がカラっぽの男の子を並べて、
小学生でもわかるようなクイズとか、
料理番組ばかりになってしまいました。
ちょうど議会が
バカ殿様の就任披露宴のくりかえしになっているように、
テレビは何の広告をしているのか、
さっぱりわからないコマーシャルと
脳足りんのクイズの組み合わせで
明け暮れるようになってしまいました。
「お嫌なら見なければいいじゃないか」とおっしゃるでしょうが、
もちろん、それでいいのです。
ただ日本の国はどうなるのでしょうか。
ちょっと心配ですね。


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2010年7月5日(月)

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