第3761回
技術もしくは企業買収が全盛時代に
中国のレノボ集団がIBMのパソコン部門の企業買収をした時は、
蛇が象を呑み込んだのではないかと世界中がアッと驚きました。
私も驚いた人の一人です。
台湾がそれをやるのならわかりますが、
いくら中国に大きな未開発のマーケットがあると言っても、
技術水準に大きなひらきがあったのと、
アメリカ人を使うことについて全く経験のない中国企業にとって
荷が重すぎると思ったのです。
はたして業績を軌道にのせるのに大へんな時間がかかったし、
途中で投げ出すんじゃないかと思うピンチが耳にも入りましたが、
最近やっと業績が本調子に乗ったことが報道されています。
中国経済全体が息もつかせない上昇を続けたのと、
それが世界でも最大のマーケットであることが
幸したと言ってよいでしょう。
しかし、5年前と今では客観的な条件が違います。
中国の輸出産業は外国のノウハウを中国に移して
労働集約的な日用品を安価に提供することからスタートしましたが、
その段階のビジネスは一応終わりました。
人件費も高くなったし、
もっとレベルの高い商品が提供できなければ、
メイド・イン・チャイナも後が続きませんし、
自国で売る場合も
今まで以上の創意工夫が要求されるようになったのです。
ですから、ヨーロッパやアメリカだけではなく、
メイド・イン・ジャパンと競争しても
それに打ち勝って行けるだけの競争力を身につける必要があります。
自動車の生産はもとよりのこと、
ファッション製品から化粧品からさては食品に至るまで
品質と価格で勝負ができるためには
技術の導入が絶対条件になってしまったのです。
それは中国企業が外国で経営するための買収だけでは
必らずしもありません。
外国の技術を導入するために、
外国企業をそっくり買収したり、資本参加することもあれば、
ノウハウを教えてもらうだけというケースもあります。
面白いことに外国ではもはや斜陽化したり、
常識化してしまった技術でも
中国に持ち込めば黄金の卵になることもあり得るのです。
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