中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3759
資源の確保と技術の買収が当面の目標です

昨今、中国企業の海外進出が目立つようになりましたが、
それは日本企業やそれに続く韓国や台湾の企業の海外進出と
動機を同じくするものではありません。
先進工業国の海外進出は
コスト・ダウンと新しい海外市場の開発を狙ったものですが、
中国の場合はまだそこまでは達しておりません。

中国人は日本人と違って
身内や仲間から離れて海外に出稼ぎに行くことに何の抵抗もないし、
長期滞在の許可が出ると、
「おめでとうおめでとう」と皆で集まって
お祝いのパーティをひらきます。
日本人は今でこそ水杯で別れを惜しむ光景は見られませんが、
早く勤務を終って
1日も早く故郷へ帰ってくるようにという挨拶が多いし、
いまの若い人にきいても
海外勤務はお断わりという人が圧倒的に多いようです。

ところが、人が行きたがらないのに、
工場が海外に引越ししないと
商売が成り立たないのが日本の企業です。
やむなく海外勤務手当や運転手つきの車までつけて
出世コースにおかれている幹部を社命で海外に送り出します。
中国も将来は似たようなことをする時代が来るかも知れませんが、
少くともいまの時点ではまだそこまで達していません。
中国の工業化によるコスト・インフレはまだ先のことで、
やっと同じ国内で、コストの高くなったところから、
コストの安いところに工場の大移動がはじまったばかりです。

但し、13億人も人口のある所で
工業化が大へんなスピードではじまると、
工業化による資源不足が起ることは目に見えています。
中国も資源国の一つですが、
国内の資源だけでは間に合いませんので、
ふえ続ける需要に見合うだけの資源を調達する必要が起ります。

もう一つは見様見真似で
工業生産も海外で競争のできる水準まで辿りつきましたが、
これ以上の品質向上のためには技術を買収するか、
技術を持つ企業の買収が必要になります。
中国資本の海外進出が盛んになったように見えても、
実はいまのところ、この2つの範囲に目標は搾られています。


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2010年6月25日(金)

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