第3745回
もっと香港の実情に精通しないと
これは昨日の続きですが、
亨泰は食品の輸入をしていた企業が野菜の輸入をしているより
自国内で生産した方が有利だと考えて
江西省で大規模農業に手を出したところです。
その方が長い目で見て会社にとって有利だからと考えて
その将来性を買ったのです。
ところが、今日株を買えば明日にも上がると思っている連中は
毎日毎日やいのやいのの催促です。
これでは会社だってたまったものじゃありません。
またこの会社は金がないから、
銀行からもお金が貸してもらえなくて、
やむなく安い値段で増資をしたんだろう。
おかげで株主がえらい損をさせられたというのも全くの勘違いです。
財務諸表を見ればすぐにわかることですが、
亨泰は自己資本の100倍もの積立金を持っています。
そんな会社が金融不安のさなかで増資を選んだのは
(これはあくまでも私のカングリですが)
創業時にあまりお金がなくて
上場に際して基金の出資に頼った経営陣が、
金融不安のさなかに増資をすれば、
大株主である基金が金ぐりのために増資に応ずる
代わりに株を売るんじゃないかと考えたのではないでしょうか。
現に会社の発表でも増資に際して
董事長が4億株の増資に応じているし、
どうせ増資するなら株価の安い時がいいでしょうと
ご本人の口からきいたこともあります。
その後の株主名簿を見ると、
大株主が投信から現経営陣に大きく移行しています。
増資に際して日本人の株主が損をしたとすれば、
それは日本人が海外での増資に応ずる場合は
財務省の許可が必要だという日本の法律によるものです。
同じ日本人でも現地の証券会社で取引をしている場合は
増資資金の払い込みをすれば権利が行使できます。
従って長期にわたって香港で株の売買をする人は
証券会社を現地の会社に変えるか、
そういう株は売却してしまう必要があります。
日本の法律に時代に合わない規定が残っているからであって、
香港の上場会社の経営陣が
株主の存在を無視しているからではありません。
自分たちに国際上の常識がないためにえらい目にあっているのを
上場している会社のせいにしているだけのことです。
よその国の株に投資する場合は
もっとその国の事情に通ずる必要があります。 |