中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3671回
人が年をとるように国も年をとりますね

年輪を重ねると、人は年をとります。
年をとっても死なない人がふえると、社会全体が老齢化します。
3、40年前、私は
「いまに日本は老齢化する」と予想しましたが、
同時に「社会が成長経済から成熟経済になる」
また「国際化がすすむ」
この3つの動きが日本の国を大きく変えるだろう、
と指摘したことがあります。

いずれもその通りに動いてきましたが、
少子化が進んで人口が減少するだろうことも、
また厚生年金をもらう人よりも払う人が少くなるから、
年金をもらえなくなるだろう、
だから年金なんかあてにしないで、
老後の対策は自分でやるに限るとおすすめしました。
人にすすめるくらいですから、
もちろん、自分もその通りに対策をとってきましたので、
どうやら年金をあてにしなくても、
生活に困るような目にあわないですむところまでは
こぎつけることができました。

ところが、自分が思い及ばなかったことがいくつかあります。
一つは収入がなくなっても、家賃が入れば大丈夫だろうと思って、
ビルやマンションを購入し、
銀行からの借入れもほとんど完済したのに、
年をとるのは人間だけでなく実は建物も年をとるんですね。
30年も40年もたつと、
不動産も老化してあちこち破損が激しくなって、
やれパイプがもたなくなった、やれ壁がおちてきた、とか
建物によっては寿命が尽きるところまで来ているのです。
管理を任せた子供たちから、
「もう一度、建て直しますか、それとも売っ払ってしまいますか」
ときかれて、
「また借金をして何十年もかけて返済するのかい?
こちらもそろそろ寿命の尽きるところに来ているよ」
と私は首を横にふることになります。

あと、もう一つは、年をとるのは自分たちだけかと思っていたら、
老化は人間に起るだけでなく、国にも起るんですね。
私の働き盛りは日本の高度成長期だったので、
自分たちなりに働き甲斐がありましたが、
今や日本国も老化が激しくなっています。
若い世代に変わっても、
国の老化がとまらなくなったと思いませんか。


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2010年3月29日(月)

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