第3669回
中国への出店が日本の本体を養う時代に
2月はアルゼンチンとブラジルに行っていましたので、
中国はお留守にしていましたが、
3月に入って2ヶ月ぶりに北京入りをしました。
新暦の正月の活況に続いて旧暦の正月も
商店街はどこも大へんな賑わいで、
不景気どこ吹く風だったそうですが、
ことしに入ってから輸入だけでなく、
輸出も予想を越える伸び率を示すようになり、
この調子なら8%の成長率も何とか達成できそうな勢いです。
成長率を左右するのは何と言っても消費の伸びですから、
私は1週間ばかり滞在していた間に、
イオンが北京につくった1号店と天津の伊勢丹と
更に伊勢丹が天津で進めている2号店の予定地を
見学に行って参りました。
天津の伊勢丹はずっと好業績で、
開発区の中に今年一杯かかって建設する2号店も
積立てた資金だけで開業できるときいたので
千里の道を遠しとせず、現地まで足を運んだのです。
天津の開発区は、
私が経済顧問を頼まれて現場に行った時は
海に面した野っ原でしたが、
今や人口230万を擁する中国一の一大工業団地になりました。
地理的に韓国に近いせいもあって、
サムソンをはじめとして韓国の代表的な大企業が
ほとんど軒を並べており、トヨタの工場もあります。
私が創業した建設機械の工場は保税区の中にありますが、
1年に6000万元(約9億円)の所得税を支払うスケールにまで
成長しました。
そうした工業団地の中にさえ
日本のデパートが進出をすすめているのですから、
中国経済がどういうレベルに達したか、
想像していただけると思います。
その半面、日本で百貨店のトップを行く三越伊勢丹でさえ
売上げが減って赤字に悩むようになったのですから、
中国を嫉妬の目で見るだけでは問題が片づくわけがありません。
恐らくあまり遠くない将来に、
日本から進出した百貨店やスーパーのチェーンが
日本の本体を養うことになるのではないでしょうか。
10年も前から私が言っていたことが
いま現実になりつつあるのを痛感しました。
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