第3662回
低利資金を禿げ鷹の株買い占めに
どこの国も外国人に自国株式の売買に門戸をひらくようになると、
色んな制限を設けます。
資本金の30%までとか、50%までとか、持株の制限をするのは、
豊富な資金を持つ外国勢に
会社ごと買収されてしまっては困ると考えているからです。
日本でも最初の頃は、あれこれきびしい条件をつけました。
それでも外人さんの優良株に対する考え方は
日本人のそれと違うので、銘柄の選び方が違います。
日本人が安値に放置している株で、
外国人から見たら将来性のある株には買いを入れるし、
日本人が将来性があると考えて高値まで買い上げている株に
そっぽを向くこともあります。
そうした見解の相違は研究に値いするし、
外人買いがふえれば、
日本株の相場の位置を変えることにもなります。
そう言った意味では、日本株の自由化は
日本の株式市場に新風を吹き込むことになりましたが、
日本産業界の勢いがよくて、
石油ショック後も、輸出が順調に拡大していた間は
外人買いはさほど目立ちませんでした。
それが一転して外人によるM&Aが目立つようになったのは、
バブルがはじけて日本の産業界がピンチにおち入り、
株価が空前の安値まで売り込まれてからのことです。
産業界の不況に梃子入れをするために、政府は金利を次々と下げ、
かつてなかったような低金利政策をとるようになりました。
産業界の苦境を救うためというのが大義名分ですが、
いくら低金利でも銀行は
潰れかかった企業に融資をするわけがありません。
どちらかと言うと、
四苦八苦している企業からはきびしい取り立てを迫り、
コストの安い資金はコゲつくおそれのない
海外から乗り込んできた投資銀行に融資して
左うちわでサヤを抜く道を選んだのです。
気がついて見たら、日本の一流企業の大株主は次々と外人に変わり、
「積立金を崩して配当をふやせ、いや、ふやさない」
という争いにまで発展してしまったのです。
外資に日本の低利資金を融通して
日本株を買占めるようにしたのです。 |