第3645回
景気の恢復はことしの中国のテーマです
日本国内の消費の恢復は遅々として進みませんが、
企業の操業は既にかなり戻り足を示しています。
どうしてかというと、アメリカやヨーロッパに比べて、
中国の景気の恢復が目に見えて動きはじめているからです。
ついこの間の正月に上海、成都、昆明と旅行をした際、
不況どころか、どこのレストランに行っても、ホテルに泊っても、
いままでに経験したことのない人の賑わいを経験したので、
これは大きな流れになるぞと実感したことは
既に申し上げた通りです。
中国にはニュー・ミドルクラスが誕生しつつあり、
それが中国の経済成長を大へんな勢いで押し上げる姿は
昭和40年代の日本に似ています。
日本はいまの中国のように輸出主導型でなく、
賃上げと米価を押し上げる農民運動で
年々所得水準が向上したおかげで高度経済成長が続いたのです。
それに対して中国は輸出の減少分を
公共投資の増大と国内消費の増大が補う形をとっていますが、
実際に所得水準の向上が消費を推進することになれば、
日本で達成した経済成長と同じことが
実現することが期待できます。
もしこうした判断に間違いがなければ、
2010年度も8%、あるいはそれ以上の経済成長が続き、
欧米に先行した中国の経済恢復が起きます。
すると、素材や部品に対する需要が先行してふえるので、
日本の産業界の不振は先ず中国向けから恢復しはじめます。
その動きは既にはじまっており、
日本経済はますますアジア寄りの動きに変わって、
アメリカ離れが続きます。
すると、世界を動きまわる投資資金、投機資金も
集中して中国に向って動きますから、
中国株が強気の動きをするようになり、
日本もそれに続いて動くことが少しばかり期待できます。
しかし、日本は賃金によるコスト高を
抜本的に解決できないので、
日本企業の海外移転は
更に大へんな勢いで続くのではないでしょうか。
日本の国内消費は沈滞したままで
企業の海外移転が盛んになるのです。
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