第3597回
私が求めている海外で働きたい人は?
一昨年、アメリカの金融不安からはじまった世界的な不況の中で、
どう見ても旗色の一番悪いのはアメリカです。
自分たちは貯蓄らしい貯蓄はせず、
必要なお金はドルを印刷して賄ってきたので、
正体が見えてしまうと一挙にドルの大暴落がはじまりました。
ドルが暴落すると、
ドルを稼いでいる日本や中国の円や元は値上がりします。
本当はドルが下がったのであって、
円や元が値上がりしたわけではないのです。
でも円や元が値上がりすると、
只でさえ輸出が減る環境におかれているのに、
通貨の値上がりがそれに更に追い討ちをかけることになります。
ですから、中国の政府は輸出業者の損失を軽減するために
必死になって元高にブレーキをかけていますが、
日本は円高の進んだ成長期に
円高が刺戟になって一段と生産性をあげた実績があるので、
さほど緊張感を持っていないようです。
でも私に言わせると、一度あったことが二度あるとは限りません。
成長期と成熟期は人間の身体を見てもわかるように、
更に一段と骨格が大きくなるわけではありません。
生産性をあげる体力も同じわけではありません。
ですから、生産工場も国内ではやって行けなくなって、
もっとコストの安くてすむ海外に引越しをするか、
それとも店じまいをするか、ということになってしまいます。
従って日本国内で働いている人たちは、
工場の大移動について行けなくなって、
失業するよりほかなくなってしまいます。
日本の国も完全雇用に近かった繁栄期が終って
いよいよ失業の国日本に変貌する時期に来ているのです。
なら日本人も
外国に稼ぎに行けばいいじゃないかと思うかも知れませんが、
そうは行きません。
外国に行ってチャンスのあるのは
事業の経営にプラスする人たちだけで、
労働力を提供して月給をもらう人たちではないのです。
いま私が外国に行って働かないかと声をかけているのも
日本で不要になった人たちではなくて、
日本にもなくてはならない人たちなのです。
あなたはそんな人の一人ですか。
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