中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3581回
医療制度の改善は次のテーマです

20年前、私が中国の開発のためにでかけて行った時、
中国で一番不備だったのは便所でした。
水洗便所は少かったし、公共便所は丸見えでした。
うちの家内を旅行に誘っても尻込みしたのは
オトイレがあまりにきたなかったからでした。

しかし、経済成長がはじまると、
あッという間に、
水洗便所つきのマンションが次々と建ちはじめ、
公共便所も一新されました。
いまでは水洗でない便所を探がす方が難しくなっています。
代わりにいま不備が目立っているのは病院の施設です。
中国には西洋医学のほかに漢方のお医者さんもいるというのに、
医療設備は整っていません。
私はたまにしか病院に行くことがありませんが、
はじめての病院に行くと、
あちこち盥回しにされて、
目的の医者に辿りつくまでにかなりの時間がかかってしまいます。
ですから本当に緊急を要する病気にかかった時は、
すぐにも飛行機に乗って
東京に舞い戻る用意をして旅行をしています。

外国人はそれで何とかやっていけますが、
現地の人はもっとずっとみじめです。
とりわけ交通事故で手術やリハビリを必要とする人は、
病院に運び込まれると、
先ず現金を積んで見せないと、手術もやってもらえません。
きくところによると、
さしあたり3万元(40万円)は積んで見せないと
ちゃんと手術もしてもらえないそうです。

いくら何でもこれでは高度成長国の名に恥じます。
ですから内需をふやすなら
先ず病院の増新設と保険制度の充実から着手すべきでしょう。
鉄道や飛行場の新設より
優先させるべき分野であることに異存はないと思います。
もしそうだとしたら、
病院を建てる仕事と、医者の養成をすることと、
医薬の普及や研究に力を入れることは、
国内消費と公共投資にまたがった
次の成長産業になることが考えられます。
私がくりかえし製薬企業に着目し、
長期投資の対象として取り上げているのも
水洗便所の次は病院と医療制度の改善だと見ているからです。
もちろん、
製薬会社ならどこでもいいと言っているわけではありませんが。


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2009年12月29日(火)

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