中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3576回
日本も外貨準備の使い道を考えては?

アメリカの経済がいつどんな形で恢復するか、
世界中の人が見守っています。
経済のことですから、
長い目で見てどうなるかは別として、
打った波はまた必らず戻ってきますから、
最悪期をすぎたら皆が胸を撫でおろすような
小康状態にはなるでしょう。
でもアメリカの最盛期は通りすぎたし、
稼いだだけお金は使ってしまって、
足りない分はお札を印刷してやりくりする体制が改まらない限り、
アメリカの時代はもう戻って来ないだろうと
見ている人は多いのではないでしょうか。

だからと言って、
すぐ中国の時代が来るわけではありませんが、
日本人が暮らしをつないで行くためには、
輸出を続けて行く必要があるし、
そのためにドル安につないで或る程度、
円安を維持する必要もあります。
そうした努力をする一方で、
ドル安と無理心中をさせられないように、
ドル離れの努力をする必要もあります。

そのためには先ず対米輸出一辺倒から
アジアをはじめ他の国々への輸出をふやす必要があるし、
もう1つは1兆ドルをこえる外貨準備を
アメリカの国債に投資して利息を稼ぐだけでなく、
もっと日本の国益につながる資源や事業に投資して
危険分散をする必要があります。

中国の場合は後発ながら、
短期間に2兆ドルを越える外貨を貯めたばかりでなく、
なお外貨が大へんなスピードでふえ続けているので、
ごらんの通り将来、自国が必要とする
資源の確保と開発のために投資をしています。
日本政府はそうした投資には全く無頓着で、
民間に融資してニューヨークのビルや
カリフォルニアの土地投機に融資して
大きな損害を蒙りましたが、
商売上手という点では中国の方が
1枚も2枚も上手だと言ってよいでしょう。
日本だって産業界を維持して行くために
資源の確保は絶対に必要なことですから、
これからでも遅くないのですが、
主導権が政府になくて民間企業にあることが
最大の弱点になっています。
日本の方が遅れをとることは目に見えているのです。


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2009年12月24日(木)

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