中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3564回
日本の製法なら生産量は一挙に3倍に

私たちは雲南省の騰衝県というところにある
普洱茶の経営者と親しくなり、
日本の技術を実現するために
お茶の職人を日本から送り込みました。
日本の専門家に言わせると、
お茶の葉は成長する過程に渋味があり、
それを除くためには茶の葉が大きくなる過程で、
陽に当らないようにビニールを張って一時期、
日光を遮断する必要があるそうです。

それを実行させるべく、
私は茶畑の持主をわざわざ北京にまで呼び、
中国のお茶の産業も技術改良の時期に来ているから
お金を惜しまず、思い切って実験するようにと説得しました。
それから半年ほどたって私が現地に乗り込んで見たら、
とても遠い遠い山の中でしたが、
茶畑にビニール・ハウスのように幕を張って
陽光を遮断していた茶畑を
ちょうどビニールを剥いで
皆で勢いよく茶摘みをした初めての日でした。

実験のためだから、
私は200坪もやってくれればいいと思っていたのが
何と1200坪もの広大なテスト・プラントでした。
しかも現場を案内してくれた日本人の職人は
大へんな張り切りようで、
「5倍と言いたいところですが、私たちのやり方でやれば、
少くとも茶の葉の収穫量は3倍になりますね。
十分、採算に乗りますよ」と天にも登る勢いです。

収穫が3倍になるなら、
第一段階で先ず合格になることは目に見えています。
しかし、よくきいて見ると、
現地の人はお茶の新しい葉だけを使って普洱茶をつくり、
古い大きな茶の葉は捨ててしまうのに対して、
日本の製法では新しい葉っぱの下で
一段と大きくなった古い葉を原料に使うのです。
中国の人は古い、大きな葉は渋くて使えないと言って捨てるのに、
日本人はそっちの方がちゃんとしたお茶になると考えているのです。
少くとも日本茶をつくるのならそれで充分だし、
その方がお金になるらしいのです。
「普洱茶だって大きな葉を使ってもっといいものができますよ。
嘘と思ったら見ていて下さい。
いま新しい製茶機械を注文しているところです。
私たちの技術でもっといい普洱茶をつくって見せますから」
正しい答えはあと半年くらいかかりそうです。


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2009年12月12日(土)

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