第3541回
サービス業は毎日がピンチの只中です
私は自分で皿運びこそしておりませんが、
傘下にレストランとかコーヒー・ショップとかを
10店とは言わず持っています。
ですから食べ物屋の経営の難しさについては
熟知している積りです。
お金もそんなに儲からないし、人の使い方も難しいし、
ちょっと油断するとたちまち赤字に見舞われるので、
やめろと言われたら、やれやれと
胸を撫でおろす立場におかれています。
それでいて次々と新しい守備範囲がふえる度に
新しい食べ物商売が加わるので、
いつも家内から
「よく厭きずに食べ物屋をやるんですね。
食べ物屋は自分でやるよりもお客になる方がずっと楽ですよ。
私なんかおいしい料理を食べてお金を払うと
お店の上の人がロールス・ロイスまで送って来て
ていねいに最敬礼をしてくれるんですよ。
それなのにあなたはお金を払う方にまわらないで、
頭の痛い方にまわるんですから」と私を冷やかします。
全くその通りですから反論する余地はありませんが、
それでも次々と思いつくことの中には
サービス業に属する仕事が多いんです。
現にうちの仕事の中には
中華料理屋もあれば日本料理屋もあります。
フランス料理やこそやめてしまいましたが、
イタリア料理屋もあれば、焼肉屋もあれば、
パン屋やコーヒー屋もあります。
それでお金が儲かってニコニコしているかというと、
その反対のことばかりですから、
いやでも食べ物屋の経営の難しさが身に沁みます。
にも拘らず食べ物屋の経営を辞めないのは、
食べ物屋が私たちの生活と一番密接な位置におり、
考えつくことがたくさんあり、
もしかしたらという可能性と隣り合わせになっているからです。
そういう仕事と人生の半分以上をつきあってきましたが、
変化がないように見えて
気がついたら自分が遅れをとるような目に
いつもあわされているんですね。
現にいまも金融不安のさなかで、
サービス業は生きるか死ぬかの只中におかれているという
認識を持っています。
|