中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3538回
次は食品業界のグローバル化が本命に

ユニクロの柳井正さんの
「成功は一日で捨て去れ」という本を読んでいて、
私の名前が1ヵ所にだけ出てきました。
私の紹介で永田農法の永田照喜治さんと知り合いになり、
「おいしいトマト・エフアール・フーズ」に
手を出して失敗した話です。
もともとは私が柳井さんに
「衣料品のほかに何か事業にしたいものがありますか?」
ときいたら、
「食品です」と答えたことからはじまったことです。

ユニクロが大成功をした衣料品は
日本と中国の間に3倍の隔差がありますが、
肉類には6倍、野菜には10倍の隔差があります。
ですから柳井さんが目をつけるのは当然なことなので、
日本と中国の隔差を利用して
中国で農産加工に従事することを前提として、
永田さんを紹介したのです。
ところが、お2人とも稀代のせっかちですから、
私が山東省、福建省、雲南省、
海南省を頭に浮べて持ち出したことを、
お2人とも福島県とか、新潟県とか、北海道に置きかえて
スタートしてしまったのです。
これではグローバル化のメリットはどこにもありませんから、
ユニクロの手がける事業になるわけもありません。

はたして1年もたつか、たたないうちに、
或る日、小型トラックが
ユニクロのトマト・ジュースを山ほど積んで
うちの事務所にとまりました。
もう商売やめたので、お口よごしにということで
おしまいになったのです。
「流通経路の改革だけに留らず、我々が農業をやらなくては」
と柳井さんは書いていますが、
もともと多国籍にまたがって隔差を狙うものとばかり
私は思っていたのです。

ユニクロとしても貴重な勉強をしたことになりますが、
グローバル化を食品の分野でうまく利用することは
これからがいよいよ本番だと私は考えています。
毒ギョウザとか、メラニン入り粉ミルクとか、
ブレーキのかかる障害は前途にまだまだたくさんあるでしょうが、
それを乗りこえて行く人や企業が途絶えないこともまた
現実に起ることです。
社会がそれを求めている分野ですから。


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2009年11月16日(月)

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