中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3490回
“彼は昔の彼ならず”と言うでしょう

一口に成長株と言っても
供給をふやしてもなかなか需給の増大に追いつかない業種もあれば、
生産体制さえ整えば需要の増大を充たす業種もあります。

需要の増大に供給が追いつかないのは大半が資源株です。
石油でも銅でも稀少金属でも探がせばまだあるのでしょうが、
産業の発展によって不足が目立つようになりますので、
時と共に値上がり気味の動きをします。
不動産にしても土地は有限ですから、
高度成長期の日本では貴重品扱いをされましたが、
昨今のように土地の造成が進んだり、
建物の高層化が常識になると
ただの工業製品と見分けがつかなくなります。

それが設備さえ整えばいくらでも供給のふやせる工業製品になると、
どんなに人気のある商品でも
供給がすぐに需要に追いつきますから、
やがて成長株も成長株でなくなってしまいます。
家電メーカーでも自動車メーカーでも、
供給が需要に追いつかない間は、
いい業績をあげることができるし、
株価も高値を維持することができます。
けれども新しい工場をつくれば需要はすぐにも充たされるし、
商品が過剰になったり、流行遅れになると、
弱小企業はたちまち淘汰の対象になるので、
生き残るためにどんな大会社でも
新商品づくりに励む手をゆるめることができません。

それでも景気のサイクルを避けることができないので、
不況に見舞われる度に成長株が入れ替わってしまいます。
昨今のように金融不安に見舞われると
消費の減退が世界的な規模で起りますから、
自動車のように最も手堅い需要のある分野でも
過剰生産が目立つようになります。
農業の分野なら天変地異に左右されることがありますが、
工業生産の場合は過剰生産になっても
競争はどちらが潰れるかまで続きますから、
成長株が成長株でなくなってしまう可能性は
かつて考えられなかったほど大きくなります。
株を買う人は時代の動きを見て
そうした変化に素早く対応して行く必要があります。
かつての成長株が成長株でなくなることがすぐにも起るのです。


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2009年9月29日(火)

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