中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3488回
成長株買いは今も生きています

「株を買うなら成長株が一番だ」ということに
最初に気づいたのは私ではありませんが、
そうしたデータを見て、
成長株というアイデアを株式市場に最初に持ち込んだのは私でした。
もう半世紀も前のことです。

それまでは相撲の番付のように、
世間の評価に従った売買が株をやる人の常識でした。
当時のトップ銘柄はいずれも繊維株で、
日清紡、東洋紡、鐘紡、帝人、東レというのが
横綱の位置におかれていました。
そういう横綱株の来期の業績がどうなるかを予想に入れて
買うか売るかで株価が動いたのです。
証券会社の人もプロの相場師たちも
横綱株の話ばかりしていたのですから。

それに対して、私は誰がこの次、
横綱になるかを話題にするのが株式投資じゃないのですかと言って、

週刊誌で、千代田化工とか、東洋陶器とか、リコーとか、
徳島ハム(いまの日本ハム)とか、樫山オンワードとか、
当時は無名に近かった新進企業を取り上げたのです。
プロの人たちは疑いの目で見ていましたが、
私が取り上げた会社はまだ資本も小さかったので
すぐにストップ高をしました。
そうしたストップ高が毎週のように続くと、
私はたちまち証券界の注目を浴びるようになったし、
株価の位置も大きく変わりました。
私は嘲笑的な意味も含めて、
「株の神様」に祭り上げられましたが、
日立や東芝や八幡鉄や富士鉄の株価が下値を這うようになり、
いままでほとんど知られなかった小さな会社の株が
その何倍、何十倍にも買われるようになったので、
成長株買いは株をやる人の常識になってしまいました。

「知ったがしまい」というのは株の諺ですが、
株をやる人の常識でもあります。
皆が成長株買いを念頭において株をやるようになれば、
それは株価の中に織り込まれます。
しかし常識になってしまったとは言え、
そういう考え方がなくなってしまったわけではありません。
現に中国株をやるようになってからでも私は
「次の成長株は何か」に常に目を光らせています。


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2009年9月27日(日)

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