第3449回
水不足が資源不足の最大のテーマに
中国の資源問題の中で今後一番大きな問題になるのは
多分、水でしょう。
資源というと私たちはすぐ石油や鉄や
アルミなどの鉱物を連想してしまうが、
鉱物ではなくて実は水だということになると
途端に目を白黒させてしまいます。
日本は降水量も多いし、
水不足があまり問題にならなかったので、
「水と安全は只」という常識になれてきましたが、
本当はこれだけ工業が発展したら、
工業用水の激増によって深刻な水不足におちいっている筈です。
それがそうならないですんでいるのは、
工業の発展する過程で食糧を人口の7割分近くまで
海外からの輸入に切りかえることによって、
食糧生産に要する水を海外に移り変えたせいではないでしょうか。
最近、日本では食糧の自給が大きな時代の要請になっていますが、
もしそれが実現の方向に動いたら、
日本もたちまち水不足の国に一変するのではないでしょうか。
それに比べると、
中国はもともとが厖大な水不足の国で、
黄河と揚子江流域では水の供給量に大きな差があるし、
工業化による水に対する需要増と
都市化による水不足が増大すれば、
水不足は中国にとって最大の開発テーマになることは
避けられません。
農業でも工業でも都市生活でもそれぞれ水の奪い合いになるし、
水の有効利用から汚水の処理、さては海水の淡水化まで
恐らく水資源の活用が国をあげての緊急課題になることは
避けられなくなります。
それに対して水資源の開発はまだごく初歩的な段階にあって、
私は何回か中国水務を取り上げたことがありますが、
問題の大きさに比べて中国水務のはたす役割は
ほんの一部でしかありません。
それでも水に対する一般の認識が深まれば
注目を浴びるでしょうが、
いま景気振興のために鉄道を引いたり
道路をつくったりする公共事業に使われる予算に負けないくらい
莫大な資金が投じられる時期は
そんなに遠い将来のことではないと思います。
どうか水のことを頭の中に入れておいて下さい。
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