第3438回
成都でソバを売る店を見つけました
旅先で一流店にばかり行くのも、考えて見れば知恵のないことです。
殊に私のように土地の農産物や名産に興味のある人は
土地の人がどんな食べ物をどんな食べ方をするか、
とても好奇心を抱きます。
最近のこと、私は砂漠の開発に興味を持ち、
水がなくても育つ野菜や穀物を調べているうちに、
とうとうソバの栽培をする広大な候補地にまで足を運びました。
内モンゴルやそのお隣りの寧夏自治区では
ソバを植えている所がありますが、ソバは収穫量も少く、
値段は安いので、農民たちからも見放されています。
しかし、日本人の珍重する食べ物だし、
老齢化社会にはもって来いの栄養価があるし、
将来の食糧不足を考えたら、
これからの仕事になるのではないかと
ひそかに食指を動かしているところです。
私のそうした考え方はいまにはじまったことでなくて、
8年も前に雲南省のソバ所である曲靖というところまで
日本の若いソバ職人を連れて行って現地で手打ちソバをつくって、
産地の人たちに披露したこともあります。
そのおかげで雲南省から四川省にまたがる地域が
いわゆるダッタンそばの原産地であることもわかり、
ダッタンそばが普通のそばの100倍もルチンを含んでいて、
このそばを常食している少数民族の人たちは病気知らずで、
年をとるのが死ぬことだと考えていると教えられました。
それなのにソバが中国で普及する兆ざしは全くなく、
ソバを日本のように麺状にして食べる様子も見られません。
ソバを常食にしている人たちは
ソバ粉をこねて饅頭にして食べているとのことなので、
とにかくどんな食べ方をしているか見たいと考えて、
成都に泊っている時に
「饅頭でもいいから、ソバを食べているところを見つけてくれ」
と周囲の人たちに無理を言ったのです。
そうしたら何と成都でも
ちゃんとソバを売っているところが見つかりました。
それも饅頭ではなくて、麺状にしたソバ、
それも牛肉で味をつけた牛肉ソバを売っているのです。
やはり注文はつけて見るものですね。
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