中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3335回
これなら自分にもできそうな気に

この原稿は江西省にある亨泰集団の農場と
福建省にある超大現代の農場の現場を視察して
上海に辿りついたところで書いていますが、
資本主義経済で運営されている日本でなくて、
社会主義市場経済を謳う中国で
広大な土地を私企業に提供して、
これだけの大規模な農業経営が行われていることに
いささかの戸惑いを感じています。

大規模農業と言っても、
トラクターを動かして
少数の作業員で耕作をしているわけではありません。
何千人という人を使って
同じことを大きな面積の農地でやっているだけのことで、
働いている人はもとよりのこと、
何を植えて、いつ収穫をするか監督している人たちも、
私たちよりよく勉強しているようには見えません。
それでも同じことを何十倍、
何百倍のスケールで作付けしたり、収穫したりして、
市場に天秤棒で担いで売りに行ったりする代わりに、
トランクに積んで30%は輸出、50%は加工工場、
あとの20%はスーパーやレストランに直接納入する形態に変わると、
売上げ人民元で50億元(1元約15円)に対して
20億元も計上益があるのです。
農業の税率は低目に抑えられていますが、
ちゃんと税金は納めていますから、粉飾決算ではありません。
小規模農業が如何に非能率的で無駄が多いかを
実証して見せてくれているようなものです。

もちろん、農業は米づくりや野菜づくりだけではありません。
牧畜から養豚、養鶏まであります。
そのすべての分野で、
農業の大規模化がこれからおころうとしているのです。
日本は農業の資本主義化では後進国ですが、
農業技術の研究ではずっと先進国です。
日本の工業技術と資本を持って発展途上国に動いたのが
この2、30年の動きですが、
農業のグローバル化はこれからはじまるところです。
中国の大規模農業を見ると、ちょっと胸を撫でおろします。
これなら自分にもできるのではないかという気持になるからです。


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2009年4月27日(月)

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