中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3332回
八方塞がりで農業の海外進出が突破口に

当面、1ドル100円に落着くのかどうかは誰にもわかりません。
それが妥当なレートであるかどうかにも議論の余地があります。
アメリカの方がずっと悪い環境に落ち込んでいますから、
本当ならもっと円高になってもおかしくないのですが、
そうなると対米輸出ができなくなってしまいますから、
円安に引き下ろす力が働きます。

またアジアの大半の国々の通貨が
アメリカ資本の引き揚げによって下落していますから、
それらの国々への輸出が困難になるだけでなく、
対米輸出、対アジア輸出でも
日本の方がずっと不利な立場に追い込まれます。
従って日本もまたドルに対して
円安にならないとやって行けない位置におかれているのです。

もっとも通貨安にならなければならない筈のドルよりも
世界中の通貨が現実にもっと安くなっているのですから、
この矛盾の調整される過程で産業界の不安定が続き、
円も不安定な状態が続きます。
円高になっても駄目、円安になっても駄目という
矛盾の下におかれますから、
日本の産業界の恢復は遅々として進まないというのが
本当の日本の姿ではないでしょうか。

私たちとしてできることは、
日本という国境線の中で物を考えることをやめて、
物づくりでも、物を売ったり、サービスを提供する仕事でも、
国境をこえて世界中どこでやればもっとも有利かを考えて、
企業の配置換えをすることではないでしょうか。
私は9年も前にこのコラムで
いまに日本人が農業をやるのに
海外でやる時代が来ますよと予言しましたが、
企業による農業経営を禁じた日本で
農家の後を継ぐ人がいなくなり、農業は潰滅に瀕しています。
潰滅に瀕しても、改良、改善の気風は生きていますので、
日本人の長所を日本以外の農業経営に適したところで
発揮することができます。
私が考えついて10年たって漸く皆さんにも
ご賛同いただけるチャンスが到来したようです。
もしかしたら農業が日本経営の新しい貢を
ひらくことになるかもしれません。


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2009年4月24日(金)

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