第3310回
マグロも霜降り牛肉もいまや中国で人気
グローバル化とは、ヒトもモノもカネも
地球上をかなり自由に動きまわる時代になったということですが、
人間は自分の生まれた町や育った所に固執するので、
何かあるとすぐにも門をとざしにかかります。
世界的な金融不安が押し寄せて
災害が身のまわりに振りかかってくると、
アメリカのような他国の門を無理矢理こじあけてきた国でも、
「バイ・アメリカン」などとあらぬことを口走る人がふえています。
安い日用品の生産を世界中に任せてロクに貯蓄もせず、
安易に暮らしてきたアメリカ人に
「バイ・アメリカン」ができるわけもありません。
アメリカ人に比べると、
日本人の方が自分の国にこだわり、
農産物だって日常品だって自国産にこだわり続けてきました。
ブランド商品についてはいまも舶来にこだわっていますが、
お米や魚や野菜や果物になると、
途端に外国製を一段下に見下だします。
本当は海だって江戸前からずっと印度洋や、
大西洋にまでつながっていますから、
マグロのあとを追っかけているうちに、
印度洋やアフリカにまで到達してしまいます。
江戸前が少し遠くなっただけのことなのです。
ところが、お米や牛肉だけでなく、野菜でも果物でも、
産地がちょっと遠くなるとバカにするだけでなく、
疑いの目で見るようになります。
山東省の白葱やホーレン草だって
日本人が現地に行って植えているのに、
農薬が多すぎると言って輸入禁止にしたりします。
農薬の許容量にしても、日本の方が高い場合もあります。
鋤焼用の太い葱に至っては
中国人の日常食べる物ではありませんから、
日本市場のために日本人が現地に行って
指導してつくっている以外には考えられません。
従って輸入禁止によって一番被害を蒙るのは
時代の先端を行く日本人のパイオニアたちなのです。
しかし、グローバル化の動きを見ていると
モノの生産地だけではありません。
消費者もグローバル化して
中国人が太い葱も食べるようになっているし、
日本の牛肉も食べるようになっています。
最近、上海の人たちにトロと日本の牛肉が人気を呼んでいるのを見て
なるほどとすっかり感心をしているところです。 |