中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3305回
中国のお茶にも改良のチャンスが

日本でお茶の生産販売に従事している人たちは
そのうちに山に登ってお茶摘みをする人もいなくなるんじゃないかと
心配しています。
茶摘みは3Kの仕事に属しないかも知れませんが、
農家の後を継ぐ人は減る一方ですから、
そのうちに茶畑も荒れるに任せる時代がないとは言えません。

そうした未来に備えて、私の知人の中にも
雲南省や浙江省の茶所に進出を考えている人がおります。
念のために雲南省の普茶の本場に行って
茶畑の土を持って
静岡のお茶の研究所で土質の分析をしてもらったところ、
「こんなにお茶の栽培に適した土質は日本にはありません」
と言われて、すっかり熱をあげています。
その一方で普茶の生産過程を丹念に調べていると、
日本の緑茶の作り方の方が改良に改良を重ねていて
一日の長があるのではないかと思うようになりました。

私が紹介の労をとっていま改良に一歩踏み出したところですが、
もし雲南省で日本の緑茶ができるようになると、
将来不足する日本茶を雲南省から供給できるようになるし、
その製法を普茶の生産過程に取り入れて
中国茶に新風をもたらすこともできるかも知れません。
コーヒーの栽培がきっかけになって
私は1年に何回も雲南省に足を踏み入れるようになりましたが、
雲南省の人は自分がお茶の製造にかかわっていない人でも、
いざ話がお茶に及ぶと途端に目を輝かせて
何時間でもとうとうと意見を述べてとどまるところを知りません。
こういう人たちを集めて普茶の品評会をやろうものなら
夜が明けても話はまとまらないのではないかと
心配になってしまいました。

でもどの人も普茶は何千年もの歴史の中で
いまや改良の時期に来ているということでは
ぴたりと意見が一致しています。
誰がそれをやれるかということになると外からの力が必要なのです。
もしかしたら、それは日本人であるかも知れません。
アメリカの自動車でそれが起ったように。


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2009年3月28日(土)

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