中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3300回
お金が中国の政治体制を変えて行きます

日本人は戦争でアメリカに敗れ、戦後、アメリカに占領されたり、
復興に際してアメリカの世話になったので、
アメリカの影響を強く受けています。
ですから無意識のうちに
アメリカの政治体制を最も進んだものとして受け入れ、
選挙によって議員や大統領を選ぶシステムを
民主主義と信じ込んでいるフシがあります。

そうした物差しで、ロシアや中国やアフリカや南米の国々を見ると、
まだ進化の足りない野蛮国に見えますが、
国それぞれに歴史も違うし、生活環境や文化も違いますから、
チグハグな答が出て来てしまいます。
日本の選挙にしても、
民主主義というときこえはいいかも知れませんが、
極端な言い方をすれば、バカがバカに票を入れるシステムですから、
本当に統治者にふさわしい人が
統治者に選ばれるわけではありません。
ましてや低開発国や異民族間の紛争の絶えない国に
公平な選挙を期待すること自体に無理があります。
むしろそれぞれの国に向いた政治体制があると
見るべきではないでしょうか。

ですから日本人の物差しで
中国の政治制度の未来を予測すること自体が矛盾しており、
その予測通りなら、中国の共産党独裁はもう既に何回も、
いや何十回も崩壊している筈です。
それがそうならないで
世界的な金融不安を欧米諸国より傷は浅く乗り越えられるとすれば、
中国式政治体制の長所があると見るべきでしょう。
もちろんいまのような体制が
理想的と言っているわけではありませんが。

ご存知の通り中国は
大へんなスピードで金持ちになる方向に動いています。
金があるようになったら、
人々の物の考え方も貧乏だった時とは変ってきます。
つまり金の力が中国人の考え方を変え、
それがやがて政治の体制を少しずつ、
しかし、時間の経過して行くプロセスで大きく変えて行くのです。
革命なんか必要ありません。
お金が人々の物の考え方を変え、
中国の政治体制そのものを大きく変えて行くと私は見ています。


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2009年3月23日(月)

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