第3296回
「まだはもうなり」なのか、それとも?
世界的な金融不安の中で、
アメリカの投資銀行や証券会社は世界中で株を売って
お金を引き揚げていますが、
それはドルで預ったお金をドルで返さなければならないからです。
投資信託の解約による返済は
お互いにいくら損をしても待ったなしですから、
どんなに株が安くても投げ売りをするよりほかありません。
ファンドを買った人も大損をしますが、
売った人も負けずに大損します。
ファンドは投資銀行でないお金を扱う商業銀行も
資産運用の一環としてかなりの額を持っていますから
どの銀行もそれなりの影響を受けます。
ですからリーマン・ブラザーズが倒産した時、
「どのへんで金融不安の津波はとまりますか」ときかれて、
私は「シティ・バンクとバンク・オブ・アメリカが
どの程度の損害でとまるか、
アメリカの大銀行が倒産しないですむかどうかによりますね」、
と答えたことがあります。
リーマン・ブラザーズの倒産による衝撃の大きさに驚いて
アメリカの政府が積極的に対策をとるようになったので、
どうやらシティもアメリカも倒産だけは免れるようですが、
損害の大きさはこれから次々と表沙汰になることでしょう。
普通、銀行でも如何にそのあおりをくっているかは
香港上海バンクや東亜銀行の株価を見たらわかります。
3ドル株価が動いても大騒ぎになるホンシャンの株価が
1日で120ドル台から80ドル台まで下がっただけでなく、
それが最近は40ドルそこそこまで売り叩かれています。
それくらいアジアでも金融津波の被害は甚大ですから、
アメリカの投資銀行が次々とアジアで投資した株を叩き売って
お金を引き揚げる動きは、
売る株がなくなるまで続くと見てよいでしょう。
銀行や投信の持っていない小型株は比較的影響が少いでしょうが、
アメリカ資本が大株主に肩を並べている株は
たとえ優良株でも下げがきびしいのはそのせいです。
はたして値下がりはこれで終わりなのか、
「まだはもうなり」か、
それとも、「もうはまだなり」かは皆さん、
ご自分で判断するよりほかありませんね。
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