中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3294回
まだ国営企業上がりが主流の時代です

ベトナムの経済が中国経済に10年遅れて
ほぼ同じスピードで成長しているとすれば
(このことに異議を唱える人ももちろん、おりますが)
株式投資をやる場合、10年前の中国株の環境を頭に浮べて、
どんな株を選べば失敗しないですむか、
自分を納得させることができます。

10年前の中国の代表的な優良株は
ほとんどが国営事業の横滑りでした。
個体戸と呼ばれた民間人によって創業された企業は
まだほとんど育っておらず、
国営事業で政府の手を離れても
独立独歩でやって行けそうな企業だけが株を上場できたのです。
その中にはボールペンや鉛筆をつくる会社、縫製加工をする会社、
さてはオートバイをつくる会社までありましたが、
今日なおトップを切っておられる業種は
特権を持って業界を独占できる石油とか、
石炭とか、道路とか、港湾などごく一部に限られています。
なかでも産業界の影を反映した不動産が
ジェット・コースターに乗ったような動きをしていますが、
10年前に比べると多くの投資家の注目をひいています。
繊維や家電が大きく崩れたのと逆行して
資源の開発や素材の加工は高値を維持しているので、
恐らく似たようなことがベトナムでも起るのではないでしょうか。

いまのベトナムでは上場会社がやっと300社台にのせたところで、
その後に続く国営企業が7000社もあるそうです。
その中に次の成長産業がひそんでいることは間違いありませんが、
それらの企業に誘いをかけて次々と上場させるのが
証券会社の仕事と言ってよいでしょう。
そう言った意味ではそのすぐ傍にいて、
これは将来性のある会社、
これはいま安値に放置されている会社ということがわかれば、
お金の儲かるチャンスが多いということになります。
証券会社の人は一番優位な立場にいることになりますが、
あまりに海に近いところに立っているので
波の高い低いばかり見えて、
その向うの潮の流れが見えないのです。
証券マンで株で金持ちになった人を見たことありますか。


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2009年3月17日(火)

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