中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3287回
香港上海バンクの株が10年ぶりの安値に

アメリカ発金融津波は
いま世界中に襲いかかっていますが、
アメリカと深いかかわりのある国や地域ほど
被害も大きいのはやむを得ないことです。
アジアよりヨーロッパの方が被害甚大なことは
誰にでも理解できることだし、
フランスよりイギリスの方が
もっと大へんなことは当り前だし、
アメリカに対して輸出の多いドイツが
分相応の被害を受けることも充分、納得の行くことです。

アジアでは恐らく日本がアメリカと一番深くかかわっているし、
その他の地域では香港とシンガポール、
そして、台湾、韓国という順序になるのではないでしょうか。
アジアの金融センターである香港やシンガポールは
表にこそ出していませんが、
オイル・マネーも大量に扱っているので、
サブプライム・ローンの崩壊がはじまった時、
私は香港上海バンクは
大へんな目にあわされるのではないかと
すぐにピンときました。
でもアジアにデンと構えた存在だし、
株価が2ドルか3ドル下がっても大騒ぎになる存在ですから、
投資専業の子会社が米ドル300億ドルほどの
資金不足に迫られていると発表されただけで、
株価も5ドルほど下げただけでした。

私はもしかしたら日本円にして3兆円くらい
やられたのではないかと推測して、
銀行株には近づくなと警告を発しましたが、
あれから半年以上たって、
120ドル台だった株価が遂に50ドル台まで叩き売られ、
資金不足を補うために米ドルにして200億ドルほど
資金調達をする方針が発表されました。
積立金もあることだし、
それだけで取りあえずは間に合うのかも知れませんが、
アジアのトップにランクされる銀行にしてこのざまですから、
香港中の他の銀行は推して知るべしです。

でも金融でもっている香港で
被害の実状が多くの人々に知られるようになったことで、
底は見えてきたと言ってよいのではないでしょうか。
被害の少い順序に立ち直りがはじまるところまで
近づいたのではないでしょうか。


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2009年3月10日(火)

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