中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3258回
余所者でないとやれないことをやれ

私がいま四川料理の開発をしていると言ったら、
一番関心を示してくれたのは
元四川省長をつとめたことのある宋宝瑞さんでした。
この人は省長から北京に転任して
総理をつとめた朱鎔基さんの片腕として活躍した人ですが、
17年前にわざわざ北京まで出向いて
私を成都まで案内してくれた人でもあります。
いまは定年退職をして成都に住んでいますが、
久しぶりに成都で一夕を共にした席上で、
私があの頃の四川料理の老舗が
1軒も残っていないことを嘆いたのです。

恐らく元四川省長さんにも
同じような感慨があったのでしょう。
「私たちに試食をさせて下さい。
もし合格だったら、私たちが裏書をしますから、
成都できっと大繁盛をするでしょう。」
と同席した現役の高官たちに同意を求めていました。
私の言う新四川料理とは
先ず人口が1億人にものぼる
(重慶市を分離する前は日本とほぼ同じ人口でした)
四川省で生産される素材をふんだんに使うこと。
第2に麻婆豆腐とか、樟茶鴨とか、
回鍋肉とか、鍋巴(おこげの料理)とか、
あるいは麻辣と呼ばれる舌のしびれるような
唐辛子をふんだんにきかせた味つけ。
そして第3はグローバル時代にふさわしい
海産物や海外からの素材も巧みに取りいれること。
たとえば唐辛子の山の中から
鶏肉を探して出す四川料理がありますが、
私ならもう少し鶏肉を簡単に見つかるように
材料をケチらないようにします。
また眼の前で液体の素材から
豆腐を固めて見せる料理もありますが、
味つけにもう少し工夫をしたいところです。

はたして多くの食いしん坊の支持を
得られるかどうかはまだこれからのことですが、
フランスにだってヌーベル・キュイジーヌが
出現したのですから、
中国にだって伝統の上に新機軸が打ち出されても
不思議ではない時代が来たのではないでしょうか。
タイ・シルクだってアメリカ人のジム・トンプソンが
改良して世に出したのですから、
私たちが四川料理にちょっかいを出しても
不思議なことではないと思いませんか。


←前回記事へ

2009年2月9日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ