第3248回
名物づくりの新商品研究室を拡張中です
うちの昆明市の中のコーヒー店で働いていた青年の中に、
水産大学を出てロシア船に乗って、
ロシア語もできるという風変わりな日本人の青年がいました。
菓子づくりについては全くのシロウトでしたが、
興味もあり、研究心もあったので、私の提案をきくと、
コーヒー店のキッチンで、次々と菓子づくりをはじめ、
一番はじめは普洱茶によくあう
ココアのビスケットをつくりましたが、
次にクワイでポテトチップスよりおいしい
棒状のステッキを揚げ、
やがてマンゴーとカボチャのプリンをつくり出しました。
いずれもそれなりに一人前に通用する出来栄えで、
私に褒められてソバ粉を使って
ドラ焼きをつくったのはいいのですが、
職人としての修行をしていませんので、
なかに入れるあんこがどうしてもうまく行かないのです。
「やっぱり和菓子の仕事場で一通り勉強する必要があるよ」
と私は料理王国の社長さんに頼んで、
静岡から東京に出て和菓子屋をやっている社長さんに頼んで、
しばらく工場に入れてもらいました。
さあ、これでいよいよ雲南省を代表する名物が
いつかできるぞ――
と私はうしろで拍手をして喜びましたが、
いよいよこれからだというところで突然、
夢が破れてしまいました。
いよいよこれからだというところまで漕ぎつけたのに、
新商品研究室の室長に任命する積りの本人が
他の事業に引っこ抜かれて会社をやめてしまったのです。
でもやめたのは本人で私ではありません。
昆明のQコーヒーで考案した茶菓子は
昆明市長さんに気に入られて
政府主催のパーティで何回も採用されましたし、
マンゴーのプリンと、カボチャのプリンは
私が昆明に辿りつくと真っ先に注文する人気商品になっています。
また雲南のソバはルチンの含有量が豊富で
老人向け食品として定評がありますので
それでドラ焼きができれば、
必ずいつか翠湖名産として
多くの人に喜ばれるようになると私は確信しています。
それに私の新商品研究室は
何も雲南省だけにとどまっているわけではありません。
いま成都、北京、上海に拡張中です。
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