中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3237回
見るに見かねて土いじりから

これからの中国で食べることにどう対応するかが
大きな仕事になると私は思うようになりました。
中国にはもともと「食為天」(食べることが一番大切)
という言葉があって、
誰でも食べることには関心がありますが、
私もその例に漏れず、
食べるためには千里の道も遠しとせず
どこにでも飛行機に乗ってでも、飛んで行くし、
食に関する本も数々書いてきました。

その私が畑からはじまって口に入れるまで
食に一貫した関心を持つようになったのは、
雲南の山の中でティピカのコーヒーを植え、
遂にコーヒーの選別をする工場から、
TAKARANOYAMA(宝の山)ブランドのコーヒーを飲ませる
コーヒー店までひらくようになってからのことです。
コーヒーはもともとエチオピアが原産地で、
そこからアラビヤに移植されて
アラビカというコーヒーになり、
それが更にジャメイカに移植されたのが
ブルー・マウンテンです。
同じティピカ種がインド・ビルマを経由して
中国の雲南地方に入ったのが、
いま私たちの植えているティピカのコーヒーです。

コーヒーを植える人、
そのコーヒー豆を集めて選別加工する人、
そのコーヒー豆を仕入れて焙煎パッケージをして
コーヒー店と小売業者に卸す人、
そして、1杯のコーヒーをいくらで売る人と
家でコーヒーをいれるコーヒー豆を売る人とに分かれます。
その中で一番利益があって大きな事業に成長したのが
焙煎と卸しをやっている業者であり、
株式市場で広く名を知られた業者も何社かあります。
最近ではコーヒー・チェーンをつくることによって
注目を浴びるようになった
スターバックスのような例もありますが、
ブラジルだろうと、アフリカだろうと、
またベトナムやインドネシアだろうと、
コーヒーを植えて大金持ちになった農家は
あまりきいたことがありません。
価格決定権を持っているのは焙煎業者であって、
原料の供給をしている農民や採集業者ではないからです。
それなのに敢えて生産地にまでのめりこんだかというと、
一口で言えば、見るに見かねたからです。


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2009年1月19日(月)

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