第3229回
ビッグ・スリーに見るアメリカの落伍
日本でバブルがはじけた時、
アメリカでは色んな人が
日本政府の対策がまるでなっていないことをせせら笑いましたが、
今度、自分たちの番がまわってきたアメリカで、
政府をはじめ、産業界がどう対処するか、
いよいよお手並み拝見というところまで来ました。
リーマン・ブラザーズを破産させて見たところ、
その余波があまりにも大きいので、
次々と似たような立場にある銀行や保険会社に
同じことをくりかえされたら大へんだと
政府が救いの手をさしのべたおかげで、
金融界は小康を保っています。
でも問題はお金の貸し借りだけにとどまらず、
アメリカ経済の根源に位置するビッグ・スリーまで及んで来たので、
これを潰すと、もっと大へんだとばかりに
緊張した空気が続いています。
でも本当のことを言うと、
アメリカのビッグ・スリーは一度、ぶっ潰して出直した方が
アメリカ経済のためにはいいのではないでしょうか。
私の家でもかつて
リンカーンとフォードを愛用したことがありますが、
つい最近、東京の車をロールスからレクサス600に入れかえた以外は
北京も上海も成都も台北もすべてベンツです。
アメリカの車は図体が大きすぎてガソリンを食うばかりでなく、
よく壊われます。
一回ホンダに乗った人は乗りかえる時もホンダにするそうですが、
一回米車に乗った人は二度と米車に乗りかえることがなくなります。
それはアメリカの自動車会社が過去の栄光をカサに着て
先代から引きついだ遺産で生きているということにほかならず、
そういうビッグ・スリーを国民の税金で支えるということは
アメリカを益々劣等国家にしてしまうことにほかなりません。
他人の国のことですから余計な口を出すことはありませんが、
今後のアメリカがどうなるかは
アメリカ政府の政策が大きな影響をあたえます。
お手並み拝見とはまさにそういうことですが、
産業界の再編成ができるようなら、
そもそもビッグ・スリーにピンチが発生するわけがありません。
金融不安だけがアメリカの大問題ではないのです。
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