中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3147回
北辰実業と万科企業をくらべてみると

悪い方の例にあげて申し訳ないのですが、
たとえば北辰実業は北京のアジア村の周辺の開発をして
オリンピック・ブームの恩恵を受けて最も人気をはやされましが、
ほとんど見るべき業績もあげないままに終ってしまいました。
15年も前に私は台湾の実業家たちを100人も連れて
会社訪問に出かけたことがあります。
当時の台湾の人たちは大陸の人たちの20倍も所得が
ありましたから、自分たちのマンションを
買ってくれるんじゃないかと期待され、盛大な歓迎を受けました。
でも北辰実業のマンションは将来性のある
とてもいいロケーションにあるにも拘らず、
全く水準にも達していない低レベルの建築物だったので、
台湾の人たちから見向きもされませんでした。

いい土地を払い下げてもらい、次々と建築ができたのは
北京政府と緊密な関係にあったからでしょうが、
当時の北京の建築レベルにすら達していなかったのは
経営者の能力に問題があったからだと思うよりほかありません。
ですから建築ブームになる前は思うように成績があがらず、
敷地内に建てた大型スーパーの利益によって
辛じて赤字を食いとめるのが関の山でした。
後にすぐ近くに建ったイトーヨーカ堂に大半のお客を奪われましたが、
ちょうどその頃から北京の不動産ブームがはじまったので、
土地や会社の実情にうとい日本の投資家たちにもてはやされ、
何とか人気を維持することができたのです。
深圳からスタートした万科企業のこの10年あまりの発展ぶりとは
天と地ほどのひらきがあります。

もう終わってしまったのですからいいでしょうが、
遠くにいてそれぞれの企業のおかれた条件だけを見ている日本人には
会社の持っているエネルギーにまでは考えが及びません。
以上はホンの一例ですが、同じ銀行や家電会社や百貨店にだって
外見や数字だけ見たのではわからない会社の実像があるのです。
次に不動産株を買う場合でも
経営者のちゃんとした会社の株にナンピンをかけるに限ります。


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2008年10月21日(火)

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