第3061回
需要の変化から農作物の再評価を
ロシア人やフィンランド人は週末に出かけて行って
田園生活に親しんだり、自分の家で食べるくらいの野菜や果物は
自分でつくるように心がけているようですが、
工業化で財をなす道を発見をした日本人や
それに続く中国人は
工業製品の生産と都会地の値上がりで味を占めると、
土に親しむことにはあまり興味を示さなくなりました。
日本でもたまには脱サラをして帰農した若者の生き方が
テレビで話題になったりしていますが、
テレビが採り上げるくらいですから、
多くの人が滅多にやらないために
ニュース性があるんだろうということになります。
こういう都市集中化が続くと、農業人口は減る一方だし、
政府が免税その他の政策でいくら農民を保護しても、
農業は衰微する方向に向かうことは
ほとんど決定的だといってよいでしょう。
それだから日曜百姓を心がける社会現象が起るのでしょうが、
私は企業として成り立つような
もう少しスケールの大きなやり方がないものかと
いつも考えております。
その一つの具体案が雲南省の山の中で
ティピカ種(これはブルーマウンテンと同系統の
世界最高レベルのコーヒーです)の栽培をすることでしたが、
とうとう山を開発して
年に十万本くらいの苗を植えることから、
コーヒー豆の精選をする工場まで建てる
きっかけになってしまいました。
たかがコーヒー豆では
不要不急の嗜好品にすぎないじゃないかと
嗤われてしまいますが、
豊かになった社会では
コーヒーも口から入る重要な食飲料の一つです。
またそこからはじまって、ソバのつくり方から
山芋やわさびのつくり方にまで頭が働くようになるので、
将来どういうところまで手が届くようになるのか、
いまの時点では想像がつきません。
私の場合は土いじりからスタートするよりも、
口に入るところからスタートして
どういう物をつくるかにまでさかのぼって
採算を考えるので、
農村でやってもらいたい仕事が
次から次へと浮かびあがってくるのです。
やがて農作物を需要の変化から見直す時代が
来るんじゃないでしょうか。
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