第3046回
もうすぐロシアから声がかかります
産油国の王様たちに比べると、
ロシアの立場はもっと複雑です。
共産体制のおかげで
石油からの収入の大半は国庫におさめられていますが、
国庫を支配しているのはトップに立つ一握りの人です。
時代の変化によって私企業もふえたし、
その中には政府をおびやかすほど
短期間に巨大化した石油会社もありました。
しかし、その存在を認めないプーチンによって
実質上、成り立たなくなった大企業もあるし、
外資の導入によって収入をもたらすようになった企業でも
土壇場になって国家資本が割り込んでいますから、
国全体の工業化は
かならずしも順調に進行しているとは言えません。
しかし、資源産業に関する限り、国が完全に支配しているので、
国家の一人勝ち、というよりも
国家の実権を握っている一握りの人たちの一人勝ちが
当分は続くと見てよいでしょう。
国家としての数字上の成長は
ロシアをBRICsの一員に組み込んでいますが、
国全体としての成長が続いたとしても、
それが人民全体に行き渡っていないことでは、
他の如何なる成長国とも違っています。
歳月がたてばどこの支配者もあの世に行ってしまいますから、
いつまでも同じことが続かないでしょうが、
少なくも今の時点では、
ロシアでは国が稼いだお金で
国が次の投資を考えることになるでしょう。
その場合、さしあたり一番可能性のあるのはシベリアの開発、
それも資源の開発を中心とした投資であり、
副次的な事業としては外資の導入による工業化の促進
ということになるでしょう。
どちらも日本の手を借りる必要があるので、
もうしばらくしたら、日本に声がかかることは目に見えています。
日本人にとっては
中国人よりももっとずっと油断のならない相手ですから、
答えはそう簡単には出ません。
中国人のようにくみしやすい相手に対してすら
警戒心をゆるめない日本人が多いのですから、
その時、本当にどうする積りでしょうか。
政治家に任せておくと必らず痛い目にあうことは
先ず間違いないでしょうから。
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