中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3032回
民主化にブレーキをかける中国の官僚制

オリンピックが近づいたので、
北京じゅうがごったがえしになっています。
世界中から大事な賓客が集まるので、
万に一つの粗相もないように、
トップから指示があるのは当然ですが、
それを具体的にすすめて行く段階で
役人たちが業者に八当たりをしたり、
この時ぞとばかりに袖の下を要求するのが目立ちます。

たとえば飲食店の不備や不衛生によって
食当りがあったら大へんなので、
上から飲食店の改善に力を入れよと命令があると、
北京じゅうのレストランが大恐慌におちいります。
小役人が1軒1軒の店のキッチンに因縁をつけ、
改善を要求するのはいいとしても、
この時ぞとばかりに罰金を課します。
1万元、2万元、3万元といった罰金はザラで、
なんとかそれを負けてもらおうと
関係筋を通して裏口から陳情に来ると、
それが小遣い稼ぎのチャンスになるのです。

こうしたシステムは共産になってからの役人たちが
発明したものではありません。
独裁的官僚制度が中国に定着したのは
恐らく隋の時代からでしょうから千何百年もの実績があります。
王朝が変わっても官僚制度はそのまま受け継がれますから、
蒋介石から毛沢東に受け継がれても、同じことが続きます。
ケ小平から以降、同じ共産主義でも
トップの物の考え方はかなり変わりましたが、
行政の段階まで下りて来ると
役人の横柄に改善のきざしはあまり見られません。
悪いのは共産主義がスローガンになっているかどうかではなくて、
歴史と共に長い独裁的官僚システムですから、
中国の将来の運命を決めるのは
役所の雰囲気を変えるだけの力を
一般庶民が持てるようになるかどうかにかかっています。

ビジネスマンたちが豊かになって
役人たち食ってかかれるようになるかどうかが
中国の将来の運命を決めます。
この10年でかなり改善されたのですが、
私たちが見るとまだまだです。
オリンピックで一山こえても、山の向うにまだ山が続いています。


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2008年6月28日(土)

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