中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3011回
日本人の檜舞台は外国に移りつつあります

テレビを見ていると、
日本で一番多いニュースは人殺しで、その次はタレントの噂話、
それから税金の無駄使いという順序になっています。
税金が出鱈目に使われている報道に接する度に
何とかならないものかと思う人は少なくないと思いますが、
いくらイライラしても問題の解決にはつながりません。
どうしてかというと
税金を集める部門と税金を使う部門は分業になっていて、
使う側にまわった部門では
如何にして予算を確保するかに全力を尽す人が能吏であって、
予算は自分たちのポケットから支払われるものではないからです。
不正な支出が露見したり、
ワイロをとったことが表沙汰になった時だけ
ニュースになるのであって、
社会制度がそうなっている以上、
無駄使いがなくなる可能性はないのです。

あとは行政の各部門を入札システムに切り変えて、
安く入札した企業に請け負わせれば、
少くともいまのシステムよりは安上がりになる可能性がありますが、
そんなことできないとなれば、
あとは税金をたくさん払っている人がなるべく合法的に節税をして
払う税金を減らすよりほかないことになります。
もし私の「非居住者のすすめ」に書いたように、
多くの日本人が日本国内で払う税金を加減するようになったら、
日本国内には政府から扶養手当をもらって生活している老人と
怠者と政治家しか残らないことになってしまいます。
真面目によく働いて税金もしっかり払えるような人は
外国に出稼ぎに行くよりほかなくなってしまうのです。

本当は税法にそういう矛盾がなくても、
日本国内は真面目に働く人の稼ぎ場でなくなりつつあります。
もう一ぺん日本人が過去の栄光を取り戻したいと思ったら
日本人は新興国に出かけて行って、
その国の経済発展のリーダーをつとめなければいけないのです。
朝青龍や白鵬が日本に出稼ぎに来たことが
モンゴルの国威発揚に役に立っているように
モスクワだろうと、ムンバイだろうと腕に自信のある日本人は
ドンドン出て行けばいいのです。


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2008年6月7日(土)

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