第2985回
業績がよいのになぜ無配が多いのか
中国株の2007年度の業績発表がほぼ出揃いました。
気の早い企業は
早くも本年度第一四半期の業績発表をする準備にかかっています。
過去1年の業績を見てもわかるように、
世界的な同時株安にも拘らず、
中国の上場企業は軒並み好業績でした。
前年比50%増益、100%増益というのに、
株価は逆に値下がりしています。
そして、もう一つの特長は増収増益だというのに、
逆に無配に転落した企業が多いことです。
昨年と同じ株を同じ株数持っていたとしても、
配当金が3分の1まで減ってしまったと感じている投資家は
多いのじゃないでしょうか。
どうしてこんなことになったかというと、
世界的な金融不安と株安の影響を受けて
中国の経営者たちも不安におちいっているからです。
業績は決して悪くないし、利益も依然として上昇過程にあるのに、
その先にピンチが待ち構えていると脅かされれば、
新規投資や金ぐりの資金づくりに備える気になります。
銀行に駆け込んでも断られるような目にあうくらいなら、
配当は1回休みにして万全を期したいというのが
駈け出し経営者たちの心理です。
中国の上場企業の経営者たちは
まだ株主がどんなに重要な存在かということに対して
認識不足の人が多く、
株主の利益を後廻わしにしてしまうのです。
その点、私に相談を持ちかける
トップの人たちも少しずつふえており、
そういう会社は一時的な減益に見舞われても、
次期増産の見込みがあれば、
僅かでも現金配当か、株配をやるようになっています。
同じ株を持つなら、
そういうわけのわかった企業を選ぶ投資家が少しでもふえることを
私も期待しています。
しかし、株価が世界的な株安と
政府の引き締め政策の影響を受けて大きくおち込んだとしても、
業績はむしろその逆の方向に動いていますから、
いずれ株価が実勢に追いつく時がきます。
またそうでなければ
株を買う人なんかこの世に一人もいなくなってしまいます。
ですから株が下がって青くなる人がふえたら
回復する時期は近いと見てよいのです。
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