中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2965
国内消費が輸出の減少をカバーする

昨今はメイド・イン・チャイナの商品が
日本やヨーロッパの
デパートやチェーン店に並んでいるだけでなく、
インドやアフリカなどの新興国にも並ぶようになりました。
少し前は韓国製品の守備範囲でしたが、
中国がその縄張りを荒らしはじめたのです。
三星や現代が日本と中国の挟み討ちになるといって
悲鳴をあげているのは決して偶然ではありません。
アメリカやヨーロッパなどの先進国の低所得者相手だけでなく、
新興国のニュー・リッチに焦点をあわせたマーケットづくりが
中国の輸出産業の新しい目標になっているのです。
恐らくアメリカの不況によって対米輸出の減少した分は
これらの新興国の開拓に向けられるようになるでしょう。
これは国内における未開発市場の開拓と同じ動きでもあります。

ですから、対米輸出にかなりのかげりが出るかも知れませんが、
ちょうど日本の対アジア貿易が
対アメリカ輸出の減少分を補ってあまりあるように、
対新興国あてと国内消費が
アメリカやヨーロッパの先進国貿易の減少を補って
あまりありになることが考えられます。
とりわけ国内消費の単価の値上がりと商品の多様化には
目を見張らせるものがあります。
ついこの間、私は成都のイトーヨーカ堂で
ラバー底の皮靴を3足、バーゲンで買いましたが、
1足700元の半額の350元というと日本円で5250円ですから
日本人の感覚からすれば安い買い物ですが、
考えてみたらそれが少し前の中国の普通の値段でした。
皆のふところが年々ふくれあがっている時ですから、
共に値上げしても喜んでとびつき買いをしてくれる人が
いくらでもいるのです。
そういうニュー・リッチが2億人もおれば、
景気の落ち込みはほとんど避けられるのではないでしょうか。

したがってオリンピックで一くぎりついて
そのあとに深刻なリセッションがあるという
嫉妬半分の不況予想は見事にはずれると私は見ています。
北京、上海はもとよりのこと、
地方都市のショッピング・センターの活気ぶりを見ると、
そう思いたくなります。


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2008年4月22日(火)

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