第2837回
中国の不動産ブームはまだはじまった所
サブプライム・ローンに端を発したアメリカの不況と、
人民元の切り上げによる輸出の不振で、
いまに見ていろ、もうすぐ中国ではバブルがはじけるから、
といった議論が日本ではなかなか盛んなように見受けられます。
バブルが発生すれば、バブルのはじける時が必らず来ます。
日本でもそうでした。
恐らく中国でもそうなるでしょう。
問題はそうなることよりも、
いつそういうことが起るのかということだと思います。
上海や北京で不動産がかなり値上がりしています。
ついこの間、昆明に行っていましたが、
私が泊っていた翠湖賓館というホテルの周辺は
この1年間に不動産が倍に値上がりしたという報告を受けました。
しかし、自分のマイホームを持っている人は
まだ僅かしかいません。
自分の家を持たない人がまだこれだけたくさんいるのに、
早くもバブルがはじけるわけがありません。
いま中国で起っていることは
経済の発展によって
ニュー・リッチが次々と誕生しているということです。
一説に人口の15%、即ち2億のニュー・リッチが
消費経済を支えていると言われています。
そういうニュー・リッチの先頭に立っている連中が
少しお金の余裕ができると、
地方に住んでいる人も上海や北京に出てきて
自分の家を買うのです。
それも不動産の値上がりを見込んで、
1人で2室も3室も買ったりしますから、
借りる人のいないマンションが目立つのです。
しかし、国全体としてはこれから
ミドル階級のマイホームづくりがやっとはじまったばかりで、
不動産を手に入れた人たちは
不動産の値上がりを歓迎する立場にあります。
不動産が値上がりすれば、
住宅ローンの返済が楽になるし、投資の励みにもなります。
既に成長のとまった日本と違って
賃金の上昇の続いている中国のことですから、
不動産の値上がりは生産意欲を促す社会現象でもあるのです。
不動産の値上がりは
やっとこれからはじまったばかりだと考えた方が
真実に近いのではないでしょうか。
バブルはまだこれからずっと先のことです。
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