中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2805回
同じお金でも持主が違うと動きも違う

この2年の間に、ミャンマーからはじまって、
インド、ロシア、カンボジア、モンゴル、
更にはシベリア、トルコ、ドバイ、ベトナムと、
アジアとその周辺の国々は一通りまわってきました。
毎日のように新聞の話題になっている国も
多く含まれていますが、
大雑把な分け方をすると、
よく働く人の国と働かなくとも
石油によって金持ちになっている国と
働きもしないが一向に豊かにもならない国に分かれます。

工業の発展によって豊かになっている国と
その後を追って工業化のすすんでいる国は、
放置しておいても自力で豊かになるでしょうが、
アラブとロシアに行くと、
自分の立っている下に石油があるんですから、
何もしないでも使うお金に困らなくなります。
但し、どちらも富は王様と政府に帰属しますから、
お金の使われ方は資本主義諸国と全く違ったものになり、
国民のレベル・アップに使われる可能性は
うんと低いと考えていいでしょう。

しかし、そうした少数者に集中した富も
それぞれ資本主義諸国とは違った投資のされ方をしますから、
世界中が同じ方向に動くわけではありません。
たとえばロシア政府は莫大な富をつかみましたから、
更に富をふやすために資源の開発に力を入れようとするでしょう。
シベリアはそのさしあたりの対象になりますが、
開発の技術を持たないロシアは
急速に日本に近づくようになると私は見ています。
何しろ中国とは仲がよいように見えても、
本当はお互いにいやがらせを続けている仲ですから。

もう一つのアラブの資金は、
基本的に近代資本主義とテンポの合わないオーナーの物ですから、
アメリカと相反発する一方で、
その大半がアメリカの金融資本によって
運営される立場におかれています。
いまアメリカが日本や韓国や台湾や香港に持ち込んで
M&Aでうつつを抜かしている資金も
元をただせば、かなりの部分が
石油成金から流れ込んだ資金と思われます。
もちろん、その中には
日本人や中国政府のお金もまぎれ込んでいるでしょう。
何しろ、お金には国籍の烙印が押されておりませんので。


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2007年11月14日(水)

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