第2735回
株式市場はアジアに移る予行演習
いま世界中に起っていることは、
アメリカが自分たちの使うものを自分たちでつくる代わりに、
ドルを印刷して外国から買うために起った世界的な金あまりです。
ドルを受けとった国はそのドルを裏づけにして
自分たちの国の紙幣の印刷をするので、
ドルを稼げない国は貧乏していますが、
ドルを稼いでいる国はお金がふえ続けています。
お金がふえても、
それを上廻わって物ができてくれば問題はありませんが、
売れない物をつくってもお金になりませんので、
あまったお金は財産価値のある不動産や株や貴金属、
骨董品を買うのに使われます。
いわゆる資産インフレを捲き起すのです。
一方、アメリカから受け取ったドルはそれぞれの国の中央銀行や
海外投資に関心のある企業の手を経て
アメリカの国債や基金に投資され、
金利や配当金を生みます。
基本的にドルを印刷して消費した代金はアメリカの借金として
更に利益をプラスして所有者に支払うべき性質のものですから、
いつかはその負担に耐えられなくなる時がきます。
しかし、
金ぐりが可能な限り、
それを先へ先へと延ばすことができるので、
アメリカは国をあげてお金をふやすことに狂奔するようになり、
アメリカ国内だけでなく、世界中、
株価を押し上げることのできる国に乗り込んで
M&Aに血道をあげるようになります。
本当はもう何年も前にアメリカの景気がおちこんで、
ドルが下落しても決して不思議なことではありません。
それがいまもちゃんともっているのは債権者の方も
莫大なドルを抱え込んでいて
共通の利害関係におかれているからです。
この状態は今後も当分、
このまま続きますので、
同じような周期的な暴落が起ることは間違いありません。
そのうちに世界的な末期がくるというよりは、
世界のリーダーがかわって、
たとえばアジアの時代に移るというのが実際に起ることでしょう。
いまその予行演習をやっているところだと思えば
わかりやすいのではないでしょうか。
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