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第2701回
中国の未来を知りたかったら上海へ

SHANGHAIとは上海のことですが、
英語で何のことかおわかりですか。
わからない人はもう一度、英和辞典をめくって見て下さい。
シャンハイには
「人を誘拐して無理矢理、働かせる」
という意味があります。
どうしてそんな意味を持つようになったかというと、
戦前、欧米の船が上海の港に着くと、
出帆するまでに船員たちが必らず行方をくらまして出奔するので、
下働きをする人がいなくなって運航に支障をきたしたのです。
弱り果てた船長が夜の酒場に行って
そこで飲んでいる若い元気そうな奴に酒をすすめて、
へべれけになったところを船まで無理矢理連れて行って、
出航したあと強制労働させることが珍しくなかったのです。
そういう光景からはじまって、
人を誘拐して働かせることを
「シャンハイする」と言うようになったのだそうです。

あまり感心した話ではありませんが、
治外法権で諸列強からいいようにされた上海の姿が
目に浮ぶような言葉です。
そう言えば、水虫のことを英語ではホンコン・フットというし、
またトコジラミのことを日本では南京虫と呼んでいます。
悪いことは世界中が中国をバカにして、
皆で中国に押しつけたのです。

しかし、中国人を一段下に見下げた諸列強の
我儘勝手な利益追求のおかげで、
上海は急激な勢いで国際都市として開発され、
それぞれの国の首都にも見られないような
時代の先端を行く近代都市に成長しました。
日本の占領時代とその反動としての共産主義の支配下で一時期、
閉鎖社会の苦しみを味わいましたが、
ケ小平の改革開放政策がはじまって以来
大へんな勢いで開発がすすみ、
私は「中国の未来を知りたかったら上海へ」とすすめています。
中国を見ないで、中国の悪口ばかり言っている人たちも、
一ぺん、上海に行って見るといいと思います。
中国が危くて、日本は危くないと思う根拠が
どこにあるのでしょうか。
月に一ぺん上海に行く度に、
私はそうした思いを咀嚼しなおしています。


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2007年8月2日(木)

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