中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2698回
癌検査のプロテイン・チップを中国人寿が採用

常茂生化の工場見学に続いて、
銘源医療の上海工場の見学に行ってきました。

私は上場企業が株主たちが見ている前で、
株主の予期しないような転業を演ずることに疑問をもっており、
うまく成功すれば拍手喝采ものですが、
物の見事に失敗することもあり得るので、
この会社が不動産投資会社から医療専業の会社に換骨脱胎することに
?マークをつけておりました。

それが転業に見事に成功しているらしいと思ったのは、
2006年度の決算を見てからのことです。
それまで無配だっただけでなく
売上げも前年比、減少していたのが、
6年度になると、
売上げが更に減ったにも拘らず、
計上益が増大するようになって、
中間決算でも0.01ドルの配当をし、更に年末にも
0.01ドルの配当をやれるようになったからです。
とりわけ減収増益できちんと配当ができたのは
転業が成功したことを物語るものであり、
社名を医療発展公司に変えたのも、
経営者が新しい事業に自信を持った何よりの証拠です。

事業の内容は癌の検査をするプロテイン・チップの製造販売ですが、
一般の病院で採用されて既に300万個を販売した実績を持っており、
それが保険業界でも認められて、
中国人寿、
続いて平安保険が保険加入者の健康診断に採用することが決定した
というニュースが流れたのです。
知人の医者に言わせると、
癌の検査をするプロテイン・チップは
既に専門家の間でよく知られたものだそうですが、
もしそうだとしても、それを保険会社に採用させたことは
営業上の着想としては優等生と言ってよく、
更なる発展につながることを期待できます。

そう考えて香港に行った時、
本社を訪問して、
副総裁さんから詳細な説明を受けましたが、
もうその頃には株価がかなり動きはじめていました。
既にそのことに気がついている投資家たちが
ほかにかなりいたということです。
それはそれで決して悪いことではありません。
私に対して
「どうです」
と先見の明を自慢できる投資家たちがいたということですから。
そういうことがあったので
工場見学に行くことを事前に発表したのです。


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2007年7月30日(月)

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