中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2682回
いまや日本もM&Aの花盛り時代に

いま世界中を動きまわるお金が
新しい方向を求めて動きを変えようとしています。
どちらにどういう形で動くのか、
はっきりした形にはまだなっていません。

そもそものはじまりは自分で物をつくっても
世界で競争できなくなったアメリカが他の国に生産を任せ、
その支払いに物の代わりにドルを印刷して渡す
安易な方法に頼るようになったことです。
ドルを受け取った側がドルで物々交換を迫ったら、
アメリカはたちまち行き詰って
ドルそのものの値打ちが大暴落するでしょうが、
アメリカは相手にそのお金を出資させて国債を買わせたり、
ファンドに出資させたりして稼いだお金の鞘抜きをして
小康を得ています。
そんなことがいつまでも続くようなら、
世界中がアメリカの眞似をすればいいことになりますが、
どう見ても危かしい綱渡りですから、
世界中が堅唾を飲んで見守っています。
それでもゲームがなかなか終らないのはアメリカがこけると、
その背中に乗った小亀たちはもっとひどい目にあうからです。

この30年、
アメリカはお金を動かして儲かりそうな企業の買収をくりかえして
身過ぎ世過ぎをしてきましたが、
もうソロソロ種切れで、
活躍の舞台を同じように経済成長がストップして
株式市場がアメリカの後を追っている日本に移してきました。
気がついて見たら、
アメリカは日本の産業界をM&Aの対象にして
既に日本の証券界にかなり喰い込んでいます。
ブルドッグとか、ビクターとか、
それぞれの業界のさしてパッとしない企業だけでなく、
ビール三社とか、そのうちに代表的な家電メーカーとか、
ITメーカにもM&A花盛りの時代が必らずきます。
日本人がまたその眞似をして最近はやたら
他人のつくった企業を欲しがる経営者がふえてきました。
時代の動きとは言え、
私はそういう動きをする日本人を尊敬しません。
尊敬されなくても、
もちろん、
平気だからこそお金にものを言わせるのでしょうが、
新しい経済倫理が確立されない限り
尊敬されない企業人がふえる方向にあるというよりほかありません。


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2007年7月14日(土)

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